意識。

胸を刺すもの。心音を貫くもの。
もうそれより他には、何もいらぬと思うもの。


何も複雑なことなどない。それはとても単純なことだ。
悪いと感じることを悪いと言い、良いと感じることを良いと言いたい。
己が悪いと思うから、己を悪いのだと言う。
間違っている。背いている。歪んでいる。肯定したくない。
悪いものだ。思うままに断定する。
間違ったもの、悪いものに人や物が関わることを、快く思わない。
関わらせたくない、関わりたくない、見せたくない、見せるべきではない。
けれど人は、僕は、自分を肯定せずには生きてゆかれない。
単純に感じ思い考えて結論し、自ずとそれに辿り着いてしまう。
誰と関わるのも酷く億劫だ。
状況の積み重ねで生まれた善悪の概念において自分を悪と前提する。
間違った自分の間違った答えを待ち、それでも尚それを肯定する。
もうその答え以外、何もなければいいと。盲目で在りたがる。
みんな砂原の蜃気楼なのだと言われれば、受け入れることは容易だ。
瞼を閉ざしてみる。