秒針の音に嘘つきは停止する。

もう少し僕でなければと、思う時がある。



嘘をつかなければ保てない。
嘘をつかなければ守れない。
嘘をつけば。


僕がこんなでなければ、もっと真っ直ぐ、大切な人を守れたかも知れない。
なんて思う。嘘をつく以外の方法で。
誰も知るべきではないこんな事は。
それを隠そうとすれば嘘になる。
僕が嘘にならなければ隠せない。
誰にも知られるべきではない。
そう言いながら、誰かが気付くのを待つ、怯さ。
関わらせてはいけないのに、関わることを捨て切れない醜さ。
壊れなければ普通に、当たり前のように、誰かと関われたかも知れない。
そう身勝手な想像をする。
僕なんかに関わらせてはいけないと思う反面、誰かの存在に寄りかかる。
時間がないのに、どれだけ清算してもまた誰かを求めてしまう。
関わったら、関わらせてはいけない。そう自己基準で定めても。
淋しいのかも知れない。
どうやったって、関わってくれた人を淋しくさせてしまうのが、淋しい。
傷つけてしまう前に。僕に出来る事を。